備考欄のようなもの

主に、中国語圏の文学・音楽・映画等について記します。

【映画】コンシェンス 裏切りの炎

『コンシェンス 裏切りの炎』2007・香港・中国/シネマ神戸/鑑賞日 2013.02.27./星4

 香港・中国2010。シネマ神戸で鑑賞。『強奪のトライアングル』と同時上映。

 ダンテ・ラム 林超賢監督。『強奪のトライアングル』のあとで見ると、破綻なく作りこまれたフィルムという印象が強い(その分、ややできすぎ、という印象も残るのだが)。早い段階で、事件の黒幕が明らかになり、後は主人公二人の対決へと向けてストーリーが展開していく。

 レオン・ライ黎明は髭を蓄えてワイルドな役作り。妻を殺されたことから取り調べ時に感情を制御できない、という役どころ。一方のリッチー・レン任賢齊は、眼鏡をかけていてやや神経質そうな印象を与える。

 冒頭、地下鉄駅の警官襲撃事件と、レストランでの携帯泥棒事件の静止画は、スタイリッシュだ。また、アクションシーンもさすがにうまく見せる。最後は中秋節に行われる香港島は大坑のドラゴンダンス舞火龍が主人公たちの行く手を遮る(映画の原題『火龍』は、ここからとられている。主人公二人が辰年生まれであることもかけているだろう)。香港の祭りに行く手を遮られる場面は『Gメン75』にもあったような気がするし、もっと古い映画にもあったような気がするのだが、思い出せない…。

 『強奪のトライアングル』もそうだったが、これまた広東語と北京語の入り混じる映画。大陸から出稼ぎにやってきた設定の王宝強や、夜の世界で働いていたビビアン・スーは、北京語を話す。ビビアン(きれいだ)の役柄もまた、大陸からの出稼ぎであったことが示唆されている。王宝強、タクシーで「深水埗」と言う時だけは広東語を話す。それぐらいは言えないと生きていけないし、またそれぐらいはすぐに言えるようになる、ということか。

 意外と言及されていないようだが、この映画では、かつてのカンフースター、陳觀泰チェン・カンタイと羅莽がカメオ出演している。二人は同年『燃えよ!じじぃドラゴン 龍虎激闘』(打擂台)にも出演し話題になった。ミシェル・イエ葉璇の颯爽とした婦人警官姿も印象的。