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備考欄のようなもの

主に、中国語圏の文学・音楽・映画等について記します。

【映画】強奪のトライアングル

『強奪のトライアングル』2007・香港・中国/シネマ神戸/鑑賞日 2013.02.27./星4

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 香港・2007。シネマ神戸で鑑賞。『コンシェンス/裏切りの炎』と同時上映。

 これまで見逃してきた映画だが、見どころはたっぷりだった。監督のクレジットは、徐克ツイ・ハーク、林嶺東リンゴ・ラム、杜琪峰ジョニー・トー。錚々たる面々が三人も、と思われるかもしれないが、これは三人が30分ずつ撮っては、プロットを含め続きを他の監督に任せる、というルールで作られた映画だという。原題の『鐵三角 』(最高のトライアングル)は、登場人物や役者に対するだけではなく、監督たち三人にも向けられた言葉なのだろう。

 この映画が作られた時点で最も輝いていた監督が杜琪峰であることには異論は少ないだろう。三人とも三者三様ながら香港ノワールアクションを、得意とした監督である。が、それぞれ自身のカラーを出しているものの、最後の杜琪峰のスタイリッシュな映像に全てを持っていかれた、という印象が強い。

 徐克は、エンターテイメント映画に通じているだけあり、どのような物語がスタートするのか、という期待感を冒頭で抱かせる。そして秘宝をめぐる強奪もの、というプロットを規定する。

 林嶺東は、映画をサイコ・サスペンスへと誘導し、任達華サイモン・ヤムの妻の心理の闇に焦点を当てる。

 杜琪峰は、登場人物たちをまるで江戸川乱歩の小説のような不気味な村に追いやる。ここでの林雪の形象は、乱歩原作映画のようだ。そして、3グループ+αが入り乱れた争奪戦を、クールに描き出す。銃撃戦でありながら、もはやサスペンスを描くというよりも、反復により彼らの行為の虚しさを映し出しているかのように思える。

 最終的に、物語がすべて解決したか、というと、そこは香港映画にありがちな、判然としないものが残るのだが、それでもハッピーエンドと言われて驚かないのは、杜琪峰監督の強引なまでの自信に満ちた映画作りの賜物だろう。

 三部構成の製作過程の妙、そして三者三様の作風を知るには恰好の映画だと思う。それは時として破綻を招きそうでいて、監督の個性と香港映画特有の大雑把なあり方から、破綻を免れているように思われる。

 おそらく林嶺東担当部分の最後辺りになると思われるが、任達華が妻と踊る場面。あそこでかかる音楽は「愛情像氣球」、もともと1960年の葛蘭主演映画『野玫瑰之恋』で使われていた歌で、映画では静婷が歌っているがレコードでは潘秀瓊が吹き込んでいる。だが一瞬映るレコード面には歌手名として「白光」という名が写っていることも気になった。

 ※youtubeで北京語版を見ることができる(日本上映版は広東語版、孫紅雷のセリフのみ北京語)が、少なくとも冒頭の徐克パートはかなり編集に異同があるようだ。

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