備考欄のようなもの

主に、中国語圏の文学・音楽・映画等について記します。

低俗喜劇

 どうも、ciatrにアクセスできない(リダイレクト ループが起きているとのこと…)なので、一日前に投稿したばかりだが、こちらに、映画の感想を投稿することにする。

 『低俗喜劇』香港・2012 香港製DVDで鑑賞(02/03)☆☆☆☆★

 『志明與春嬌』(2010)の彭浩翔監督作品。この監督は以前にも『AV』(2005)をとっており、まあアダルト・ビデオ~香港の三級片への興味は持っていたと思われるが。確信犯的に映画制作の裏側を揶揄しながら「低俗」を狙った映画である。悪くない。

 杜汶澤チャップマン・トー演じる映画プロデューサーが、資金繰りに困り、広西のヤクザの親分からお金をもらって映画を撮ることになるが、ヤクザの要求した映画のテーマとは1976年のショウ・ブラザーズのポルノ映画『官人我要』のリメイク(『官人我又要』)を、同じ女優・邵音音を使ってとること。プロデューサーは最新技術を使って顔だけ邵音音、体は若手女優に入れ替えることを思いつくが…。

 まあ、ナンセンスなギャグ(とシモネタ)に満ちた映画。邵音音は近年『打擂台』など、かなり多くの映画に出演しており、ここにも登場。最近の香港の事情を反映して、プロデューサーが大学で行う座談会には、大陸から来た学生と思しき普通話で質問をする学生もいる(杜汶澤も普通話で応答)。広西ヤクザが、お前の出自は、と尋ね、杜汶澤が客家だと答えると、客家語で罵るのも面白い(まるでシンガポール、マレーシア映画みたいだ)。

 日本人俳優・葉山豪が出演している他、日本のAVや、アダルトゲームも話題に出る。日本のポピュラーカルチャーというと、AV、ゲームというイメージが定着しているさまが、ここからも窺える。まあ、日本公開は、これは難しいと思うが、国際的な賞もいくつか受賞している(第49回金馬奨では広西ヤクザ役の鄭中基が、最優秀助演男優賞を受賞)。

 この映画のヒットを受け、実際に『官人我又要』も製作されるという話もある。もし完成したとしても、単なるポルノではないだろうし、それを期待したい。